経営相談・資金

セミナー・イベント・交流会

共済・会員サービス

販路拡大・事業支援

検定試験

各種証明

横浜商工会議所について

貸会議室のご案内
Facebook
Twitter
youtube
  1. トップページ
  2. 経営相談・資金
  3. 商店街支援事業
  4. 元町クラフトマンシップ・ストリートのご紹介②(YOKOHAMA商工季報2021春号)

元町クラフトマンシップ・ストリートのご紹介②(YOKOHAMA商工季報2021春号)

元町クラフトマンシップ・ストリート:今後のまちづくり編

 瀟洒な街並みが印象的な横浜・元町。メイン通りの裏側には、表とは一味異なる洗練された個人店が軒を連ねます。前回号でもご紹介した「元町クラフトマンシップ・ストリート(以下、元町CS)」の現在と、今後の展望について、商店街振興組合・元町CS理事長の依知川光明さん、副理事長の北川裕紀さん、同じく副理事長の鈴木めぐみさん、都市デザイナーの大木淳さんにお話しをお聞きしました。

●未曾有の事態を経験した激動の2020年

「新型コロナウィルスの影響は当然、我々の商いにも影響を及ぼしました。元町CSは小規模店の集まりなので、組合費を減額した方が皆の節約になるかもと。そんな時、イベントでお世話になった企業から大量のマスクの寄付があり、組合費の減額とマスクの配布で、組合員の脱退が抑えられました」と依知川さん。助成金を使い、消毒液を組合員に配布してまわったそう。また、長年コンサルタントとして街づくりに参加してきた大木さんは、今だからこそ足もとのニーズを見る必要があるといいます。「昨年は、社会が大きく変化しました。どんな状況でも人が来ればチャンスがありますが、今回はそうもいかない。しかもすぐに状況が戻るかわからない中で、やはりデリバリーなどはきちんと考えていくべきだろうと」。
 そこで元町全体の取り組みとして飲食店が参加し始めたのが、アソビルや横浜モアーズが利用するデリバリープラットフォーム「ニューポート」との連携でした。「ニューポートのデリバリーは、配達者の質が高く、直接雇用のスタッフが行うそう。商品の質やニッチなニーズに応えてきた元町CSとの親和性もあります」と話すのは北川さん。第二弾として、さらなる参加店舗増を目指し、小売店の多い元町ならではの小物のデリバリーも計画中。「みなとみらいなどは、お菓子のギフトの需要も高いかもしれません。まだまだ課題もありますが、良い方向に舵を切れれば」と鈴木さん。

●感謝を伝えたい!元町CSならではのバレンタイン

 商店会のイベントや今後の計画について聞かせて下さい。
 「今年は、バレンタインが日曜なので、元町仲通りを彩る“キャンドルナイト”を行いました。昨年は、バレンタイン商品やサービスを掲載したパンフレットを配布したり、キッチンカーを用意してココアやグリューを出しましたが」と北川さん。依知川さんは「これまでのバレンタインは、“外向け”でした。しかし今回はあえて、内向けに。元町CSに加盟する皆の結束力を再認識できる場にしたかった」と。「自己宣伝というか、こうやって街は、こんな状況でも生きているということを拡散したかった」と大木さんも話します。

バレンタインイベントでは各店舗前で
キャンドルが灯され、お客様や医療
従事者への感謝を伝えました
202104m4.jpg
彫金技術による花器や吹きガラスによる
グラス等を制作・販売する「大槻工房」。
ガラス製品とキャンドルの光が幻想的
でした

 もともと、元町CSの目指してきたバレンタインは、日本のバレンタイン商戦とは一線を画したものでした。欧米諸国のように、親しい方へ気持ちを伝えて欲しい。そんな、“感謝を表す機会の提供”こそが、元町CSの目指してきた姿といえます。今年のバレンタインは、この1年の苦労を組合員同士で認め合う場として、メンバーの結束を強めることができました。

● アフターコロナの新しい時代へ元町CSの課題と挑戦

 2004年に振興組合として発足した元町CS。組合でまず行ったのは、街灯や石畳の通りをはじめとした“街路整備”でした。現在も変わらぬ統一感ある街並みは、当時の努力の賜物ですが、それを維持・管理していくのにはハードルもあるようです。
 「発足当時は十分な補助金が出て、グレードの高い舗装ができました。しかし、石畳は管理が難しくアスファルトに変えてしまう商店会も増えている。元町CSは、街のハードから手を入れましたし、雰囲気もお客さまに愉しんでもらいたいという狙いがあるので、美しさは保たなければなりません」と大木さん。実際に、お客さまからの「石畳にヒールを挟んでしまう」という要望に応え、今春、石畳調の模様を施したフラットな舗装を行う予定です。

202104m2.jpg
落ち着いた雰囲気の元町クラフトマンシップ・ストリート

 そして元町CSの今後の課題は、先の“街の維持”と関連するところも。「組織のコアメンバーとしての成り手が少なく年齢層が高い」と依知川さんと北川さんは口を揃えます。大木さんも、「多くの場合、跡取りの2代目が街を支えていきますが、元町CSの場合は、テナント入居している店舗が多い。事情によって入れ替わるというテナントの弱みもあるけれど、新しい人たちが入ってくる土壌ともいえる。その強みをどう生かすかも課題」と。そんな中、満を持して開かれるのが、横浜商工会議所との「ブランディング検討会」。近隣大学の学生や一般の方々と“新しい元町CS”の形を探したいといいます。
 「若い世代に元町を知ってもらうためには、実際に見てもらい、どのような印象を受けるか聞くのが早い」と鈴木さん。学部や専攻で限定せず、広く意見を集めたいそう。「学生にぴったりのトピックはあると思う。フードフェアなどのイベントや、今後行なっていく舗装なども違った角度からの意見があるかもしれません」と大木さん。「特に元町CSには、革製品や紙製品専門の店、彫金工房などユニークで、意識の高い方から選ばれる店も多い。そういう意味では、年齢や性別などのターゲットを決められない市場でもあると思います。多くの方々の印象やアイデアを聞く場は絶好のチャンスになると思います」と鈴木さん。
 表面上のブランディングで終わらないために。この機会で得られる声から元町CSは、新しい顧客を獲得していくためのヒントを模索していきます!

202104m3.jpg
自転車用のレザーアイテムを制作・
販売する「MAWARE」
202104m6.jpg
店主こだわりの有機栽培茶とオリジナルスイーツを
味わえる「茶倉SAKURA」
202104m5.jpg
「クロコアートファクトリー」のロートアイアンは
職人が昔ながらの技法で一つ一つ丹念に手作りしています