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生麦盛り上げ隊のご紹介②(YOKOHAMA商工季報2021春号)

生麦盛り上げ隊:街を常にアップデートする仕組み

 生麦駅を降車すると、どこか懐かしさを覚える下町の風情が感じられます。コロナ禍で懸命に街のあり方を探った前回号に続き、今回は今後の街の挑戦について、岸谷商栄会会長の持丸智さん(岸谷フーズ)と、同じ岸谷商栄会に所属し、生麦盛り上げ隊にも参加する藤岡直人さん(アート工房まんまるず)、また生麦盛り上げ隊の隊長・松野良明さん(ハッピーバーバーマツノ)にお話しを聞きました。

●街に活気がもどった!大挑戦だったコロナ禍のイベント

 駅周辺の人出がめっきりと減ったと話す持丸さん。ご実家は、長らく青果店を営む地域の大黒柱でもあります。「先々代の頃は、鶴見に花月園競輪場があり、またキリンビールの横浜工場に勤務する人の往来も激しかったので賑やかでした。父の代になると生麦は落ち着きましたが、コロナ禍を経て、人々の流れがまた変わってきました」。
 生麦は、昨年の10月末から一週間、感染対策を徹底した形で、テイクアウトを中心にしたフードフェア「生麦de事件まつり」を開催し、イベントロスだった地域住民から大きな支持を得ました。「とにかく反響が大きくて驚きました。食べ歩きスタイルを持ち帰り式にし、開催期間を長く設けることで、密を防ぐ戦略は正解だったと思います。思った以上の人出で、用意していた抽選券付のスタンプラリーの景品が2日間でなくなるほど。しかし、参加店から多くの商品を寄付して頂き、結果的に豪華な抽選会になったのは嬉しい誤算でした。イベントを開催したことで普段この辺りを訪れない方々にも出会えたし、この地域の認知につながったはず」と持丸さん。

岸谷商栄会の持丸会長(右)と
生麦盛り上げ隊の藤岡さん(左)

 大阪出身で、生麦に10年住むデザイナーの藤岡さんは、生麦の“商店が点在する状況”が、この時期において大きなメリットになったと話します。「開催したことで、街が元気になった気がしました。生麦の商店街は、店舗がまばらな状態で、密になりにくい。今回のイベントは週末だけでなく平日も人出がありましたから、まばらな状態だからこその利点が証明できました。今後も感染対策を徹底しながら、地域の皆さまに喜んで頂けるイベントを開催したいと考えています」。

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商栄会活性化のためのツールの
1つ「たからスタンプ」。
マップのデザインは藤岡さんが担当

●街が持つコンテンツをアップデートする!生麦のこれから

 年が明け、緊急事態宣言の再発令で、3度目の「生麦de事件まつり」の開催や、GOTO商店街の利用が難しくなりました。現在、生麦の皆さんは、地域の今後をどのように考えているのでしょうか?

 生麦盛り上げ隊の発起人として、地域活動の主力を担う松野さんは、今こそが変革の時と話します。「3回目のまつりは、これまでの経験をさらにアップデートしたものにしていきたい。過去で得た知見を活かし、+αの挑戦もしてみたいです。まだ計画段階ですが、地産地消を意識してクラフトビールを試作したり、地域そのものを知っていただけるようなコンテンツの開発も」。
 クラフトビールは、地元のビアバー「キングペリカン」の監修で、地ビールで有名な「サンクトガーレン」と計画中。

 また、ARなどの最新技術を使って、地元の歴史である生麦事件をわかりやすく解説するツールの制作も。「生麦事件は、ただの凄惨な事件ではなく、日本が国際社会への仲間入りを果たすきっかけになったもので、この地域の観光資源といってもいい。
 これまでは、生麦事件のあらましを書いたプレートをまつりの参加店に掲示してもらいましたが、今後は映像化し、よりわかりやすく、多くの人に知ってもらうための機会にできないかと!」。
 松野さんいわく、歴史的事実は変わらないため、地域の持つコンテンツとして定着させやすいとのこと。事件を正しく知ることで、日英の和睦にちなんだ“仲直り商品”などのアイデアにつなげていくこともできるといいます。
 また、この機会に制作したものは、近隣の小中学校の学習ツールとして生かしたいという希望も。「僕たちが子どもの頃は、学校で生麦事件だけを扱った冊子が配られ、この地の歴史的なできごとについて学ぶ機会がありました。最新技術を取り入れたコンテンツで歴史を学ぶことができれば、より地域のつながりも強くなると思うのです」と松野さん。

 コンテンツから子どもたちが街を知り、商店街も子どもたちを見守る。ファミリー層が増える生麦地域に、かつての商店街が自然に担っていた“見守り”のあり方を復活させたいという意図を感じました。

●ピンチはチャンス!新しいつながり方が生み出す可能性

 デザイナーの藤岡さんは、地域活動に参加する前から商店街を頻繁に利用していたものの、組合員や住民との面識がなかったため、怪しい人に見られていたのでは?と笑います。
 しかし、活動への参加で多くの組合員や住民と知り合う機会に恵まれ、新たなつながりが生まれたそう。
 「実際に、コロナ禍で仕事のキャンセルが相次ぎましたが、顔見知りの地元の方から感染予防のパンフレットや、集客のV字回復を狙ったチラシの依頼が増えました。オンラインも大切になったけれど、今だからこそ近くの人に頼もうという気持ちもあるかもしれないですね」と藤岡さん。

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テイクアウト支援として今年1月からはじめた生麦de日曜マルシェ。

 持丸さんも「商店会の組合員は皆、店や現場で働く方々。日々の仕事に追われて、デジタルには弱くなってしまう。こんな時に、藤岡さんみたいな方がいると助かるのです」と話します。
 現在、商店会の要所に掲示されている「テイクアウトMAP」は、松野さんが他の地域で見たマップを参考にアイデアを練り、藤岡さんがデザインしたそう。
 「商店会は、会員数の減少からは逃れられません。しかし、街に活気を与える方法は既存団体でなくともできる。その様子をリアルに見ながら、商店会の我々も改革の一歩を踏み出せれば」と持丸さん。生麦の新たな歴史は、日々、力強く、紡がれているのです。

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2/14は生麦de日曜マルシェの会場が2か所に。地域の方々に楽しんでもらいながら、地域の店舗を支援します
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コロナ禍で苦戦する飲食店を応援するため、テイクアウトできるお店をマップ化。
横浜信用金庫の協力を得て店頭に掲載