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東戸塚商店会のご紹介③(YOKOHAMA商工季報2021春号)

東戸塚商店会:〝未来の子供たちに誇れる街〟を目指したまちづくり編

●まちの人と人をつなぐ商店会

 昨年から続くコロナ禍は、これまで〝ふつう〟に行っていた活動に大きな制約をもたらし、〝見えないもの〟に対する不安感や変更を余儀なくされる生活からくる精神的負担を積み上げていきました。コロナ禍のような自分一人の力ではどうしようもない状況下においては、人と人とのつながりやコミュニケーション、所属意識が安心感を提供します。
 昨春発令された緊急事態宣言下でも地域住民の不安を少しでも軽減するため、東戸塚商店会では次亜塩素酸水の配布や街の安全確保のための夜警活動等の活動を展開してきました。
 年明けに発令された2度目の緊急事態宣言下においても、森田会長を筆頭に、再び、交代で夜警活動を行い、まちに安心感を提供します。

環境美化を担当する三宅伴幸さん。
東戸塚で会社を経営。

●暮らしやすいまちをつくるために

 夜警以外にも、駅前の清掃活動やユニバーサルマナー検定※1の取得など、多くの人々が東戸塚で気持ち良く過ごすための取り組みを行います。 駅前の清掃活動をリードする三宅さん。毎月1回、清掃活動を行いますが、清掃日は月によって平日/休日を交互に入れ替えて実施。色々な人が参加できるしくみをつくっています。子供たちの参加もあり、長期の休み期間においては、活動後にボランティア証明書を出すこともあります。
 まちの美化は、防犯にも役立つと言われますが、まちがきれいになること、そして、まちをきれいに保とうという人がたくさんいることが東戸塚で気持ちよく過ごすベースになっているように思われます。
 人を大切にする商店会の取り組みとして特筆するのは、希望者を募ってユニバーサルマナー検定を取得したこと。これを主導したのは岩下さん。商店会は色々な人が訪れる場であることから、誰でも気兼ねなく過ごしてもらうため、ユニバーサルマナーをベースとした対応が増えていくのではないかとの思いから、検定を取ることにしたそうです。
 夜警活動や清掃活動、ユニバーサルマナー検定の取得など、暮らしやすい地域づくりに貢献する東戸塚商店会。岩下さんは「地域を良くする活動を楽しみながら取り組む姿は、子供たちも必ず見ていると思いますし、〝まちの活動は楽しい〟という気持ちを持ってもらえると思います」と語ります。

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行政書士事務所を開設する
岩下文さん。活用できそうな
補助金情報も探します。

●新規事業を立ち上げるスピード感

①LINEの活用
 東戸塚商店会のもう一つの特徴は、新たな事業に果敢に取り組むこと。
 LINEを活用した情報提供と商店街ポイントの提供がその一つ。この事業を担当する塩野入さんは「SNS上で〝東戸塚〟と検索しても、生活に活かせるような情報はあまりヒットしません」とのこと。インターネットを経由して情報を入手することが当たり前の時代。いかにも心もとない状況です。そこで、商店会はLINE公式アカウントを開設。生活に密着した情報を提供します。商店会加盟店の情報はもちろん、次亜塩素酸水の配布情報やフードデリバリーシステム〝東戸塚イーツ〟といったコロナ禍の不便を少しでも解消するための情報も配信されます。
 塩野入さんは「LINEの配信を通して、〝楽しそうなものには参加してみたい〟や〝良いことをしているみたいなので応援したい〟という商店会が目指す方向性と同じような感覚を持ってくれる人もいると思います。その中から少しでも商店会の会員になってくれればありがたいです」と商店会の潜在需要層に対するアプローチを試みます。
 昨秋、情報発信と併せてLINEを活用した商店会のポイント事業を実施しました。この事業は全国的にも珍しいとのこと。どのくらいの利用があるのか、また、店舗側にどのくらいの負担がかかるのかをテストするため、12月末までで一旦事業を終了。付与したポイントは商店会で利用可能だったことから、期間中、LINE登録者は3割以上増加し、手ごたえをつかみました。次のステップとしてはポイント事業の恒久化・定着化を目指しているとのこと。「他にも…」と塩野入さんはすでに次のアイディアもあるようで、さらなる面白企画の提供が期待されます。

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LINEの活用他を担当する
塩野入翼さん。
不動産業に従事する傍ら、
NPO法人でも活躍。

②東戸塚イーツ
 地域のフードデリバリーシステムとして商店会がはじめた〝東戸塚イーツ〟も、利用者の利便性向上を考え、見直しを行っています。
 担当する山本さんは「昨年の緊急事態宣言発令直後、1週間ほどで組み上げた事業で、事業を行いながら、試行錯誤を繰り返しました」とのこと。当時は、学校が休校になる中、子供でも食べきれるサイズのお弁当を5百円で提供し、給食がなくなって困るニーズにも応えました。
 「状況と共にニーズは変化する」と語る山本さん。新たなニーズを探るべく周辺飲食店25店に対しヒアリング調査を行います。今回見直しでは、高めの年齢層に対するアプローチを企画。加盟店舗全店のメニューを紙1枚にまとめ、〝電話での注文も積極的に受けつけます〟という昔からなじみのある〝出前〟をイメージした仕組みをつくります。大手フードデリバリー業者が手を出さない所を探し、アプローチするところも工夫が凝らされています。
 コロナ禍で〝外食の楽しさ〟を提供できない飲食店は、なかなか打つ手を見出せません。そんな中、飲食店を経営する近藤副会長は、「緊急事態宣言下でお店を一旦お休みにすることも考えたのですが、食材や飲料等を納入する業者さんのことまで考えると、なかなかそうもいかない事情もあります」と、厳しい現状を訴えます。地域の方々にもご協力頂きながら、新たなニーズを見出し、少しでも現状を変えていく姿勢。今後は、地域の飲食店の協力を得て、テイクアウトイベントも検討中とのこと。「イベントはネーミングが大事!」という山本さん。今後も奮闘が続きます。

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東戸塚イーツを担当する
山本潤さん。
美容師と飲食店の二刀流で
まちを盛り上げます。

●すべてがSDGsにつながる

 2回の緊急事態宣言下でも、工夫を凝らしながら歩みを止めない東戸塚商店会。そんな商店会の活動に対し、メンバーである岩下さんは「東戸塚商店会の活動は、SDGsの精神に通ずるものが多いように感じます。運営メンバーにはSDGsに精通する方もおり、自然に意識が醸成されるのではないでしょうか」と言います。
 東戸塚商店会には、SDGs活動を推進するチームがあり、統括するのは鈴木さん。「商店会の活動目標が〝未来の子供たちに誇れる街〟の実現※2。SDGsの〝誰ひとり取り残さない〟の精神に相通ずるものがあると感じました。幹部の皆さんの街に対するパワフルな想いもSDGsにぴったりだし、SDGsの新しい見せ方ができるのではないかと考え、会長に相談しました」とのこと。

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SDGsを担当する鈴木優一さん。
NPO法人SDGs Spiralの共同代表。

〝誰ひとり取り残さない〟精神のもと、地域の課題に対し、商店会で解決する方策を探る姿勢が素敵です。ただ、塩野入さんは「SDGsを目標に商店会の活動をしているわけではなく、結果的にSDGsの理念に近いものが活動の主体になっています。東戸塚マルシェのつながりから、現在でも地域の農家を応援したり、地域で活躍するハンドメイド製品を販売したり、地域でのつながりを強くしたいと思っています」と、〝普段の〟商店会活動にSDGsの精神を落とし込む。商店会の皆さんにお話をお聞きしても、「○○があった方が住民の方々も便利じゃないですか」や「□□にした方が喜ばれますよ」などの言葉が端々に出てきます。山本さん、塩野入さんとも「会社ではなかなかできないことや個人として取り組んでみたいことが、この商店会ではやってみようという雰囲気になる」と言います。商店会組織となってまだ3年の東戸塚商店会ですが、地域を盛り上げるため、チーム東戸塚の愛称通り、抜群のチームワークで今後も色々な事業にチャレンジします。

※ 1:詳細については日本ユニバーサルマナー協会のHPをご参照ください。
※ 2:東戸塚商店会は、お店や企業だけでなく個人でも会員になることができます。